マンチェスターの紡績工場：古い工場の建物とハイテク

スダック紡績工場跡地横の紡績女工像を彫る

マンチェスター市は米ニューハンプシャー州と北ニューイングランド地域で最大の都市だ。「最大の都市」と言っても、人口は約11万人で、マンチェスター市中心部のエルム通りから北へ、ウェブスター通りから西へ、運河通りから南へ折返して行けば、小さな町を見渡すことができる。マンチェスター市で最も注目されているのは、市内にずらりと並んだ褐色の建物で、壁面に目を引く看板は、これらが19世紀の建築であることを示している。「スダック紡績工場」と表示された建物のそばには、青銅色の紡績女工の像が立っている。振り返る紡績女工は無言で、人々の思いを200年以上前に持ち込んだ。

紡績の町悠久の歴史

今年はマンチェスターと命名されて200周年にあたる。ヨーロッパ移民が1722年にここに定住するまで、地元インディアンはここをナモスキーと呼び、「漁獲の地」を意味していた。メリマック川のエメスキーの滝から魚を捕るのは簡単だったからだ。1751年、欧州移民はこの地をデリーフィールドと改名した。1807年、サミュエル・ブロゼットはメリマック川の滝区で最初に河道を掘削し、水門システムを構築してメリマック川を通航させた。1809年、ベンジャミン・プリチャードとその他人は現地の水力資源を利用して綿紡績工場を設立した。英国の産業革命の最初の工業化都市マンチェスターのように、ブロゼットはここが「米国のマンチェスター」になることを望んでいる。彼の提案のもと、1810年、ここはマンチェスターと改名した。その後、マンチェスターの紡績工場はますます多くなった。1846年までに、4000台の紡績機を持つマンチェスター第11綿紡績工場は当時の世界最大の綿紡績工場となった。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、カナダのフランス語圏から南下したフランス系カナダ人を含む多くの労働者が四方八方からマンチェスターに押し寄せた。

　　経済の転換艱難辛苦をなめる

エルム通りの中心庭園にある掲示板には、マンチェスターの当時の忙しさとざわめきが映し出されているが、このざわめきはすでに歴史となっている。マンチェスターの紡績業は1930年代と80年代に2度の大ヒットを経験し、とっくに「紡績博物館」に入っていた。その後、この歴史の長い工業都市は経済転換の難題に直面している。

褐色の赤色の古い紡績工場の建物を間近に見て、記者は一部の工場が依然として廃棄状態にあることを見て、他の工場の建物の屋上にはすでに「ニューハンプシャー大学」や各種会社の看板がかかっている。ディーン・カーマンが設立したデッカ社は、マンチェスター経済の転換を促進する創業の先駆者だ。1984年、デッカ社はマンチェスターの古い紡績工場ビルを購入し、そこで研究開発を行い、医療機器、ロボット、浄水設備、上下階の車椅子などのハイテク製品を生産した。デッカ社の実験室では、開発中の「アーム」を担当者が記者に紹介した。このような障害者に取り付けられたアームは軽量であり、柔軟性と耐久性の向上により、大きな市場潜在力を持つようになった。

経済の転換の過程で、代替エネルギーなどハイテク製品はマンチェスターの重点支援対象となり、2005年に設立されたマルコモ社はそのトップである。マスカモ社の実験室主任ネイサン・マーゴリス氏は、サトウキビやトウモロコシからエタノールを抽出する方法とは異なり、同社は廃木材、農業廃棄物などの非食品系農林業原料から繊維エタノールを抽出することに力を入れていると紹介した。マーゴリス氏によると、代替エネルギー製品として、同社の製品は1、2年以内に商業化生産に入ることが期待できるという。

税金優遇で企業を誘致

マンチェスターの経済変革について、ニューハンプシャー州連邦下院議員のキャロル・シェイ・ポッター氏と同州知事を務めたジェニー・シャシン氏に相次いでインタビューした。彼女たちは、困難な経済転換の中で、マンチェスターはボストンに近い地理的優位性とダートマス学院などの人材資源を十分に利用していると考えている。マスコモ社はまた、南アフリカのスタンリンブス大学と研究開発協力関係を構築した。また、マンチェスターのあるニューハンプシャー州は広義の個人所得税を徴収せず、営業、使用、在庫、資本収益、専門サービスなどの税収もなく、会社税の割合は会社の年間純収入の8.5%にしか相当しない。多くの免税措置によりニューハンプシャー州はアラスカ州に次ぐ全米2位の「免税州」となり、マンチェスターは企業がハイテクを利用して起業する友好都市となった。マスコモ社が他の州からマンチェスターに移転したのは、そのためだ。